タスク・シフト/シェアの推進と助成金等の活用/約3分で耳ラーニング
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業種
病院・診療所・歯科
介護福祉施設
- 種別 レポート
2024年4月に本格施行された医師の働き方改革では、時間外労働の上限規制が導入され、病院経営に大きな影響を与えています。
これは単なる法規制への対応にとどまらず、人材確保や医療の質の維持、経営基盤の持続可能性を高める機会として捉えるべきです。従来の長時間労働や医師中心のヒエラルキー型運営のままでは、変化の激しい時代に対応できなくなります。
改革の成否を分けるのは「いかにそれぞれの職種がコア業務に集中できる組織をつくるか」ということと、それを実現する「マネジメント力」の2点です。
職種間で役割を最適化、真のチーム医療を実現する
タスク・シフト/シェアとは、単なる業務分担ではなく、各職種の専門性を尊重しながら職種間で役割を最適化し、真のチーム医療を実現する取り組みです。特定行為研修を修了した看護師の増加はその象徴であり、人工呼吸器設定変更や薬剤投与調整など、医師以外でも可能な業務を担っています。全国医学部長病院長会議の調査によると、配置数は令和4年7月の808人から令和6年4月には1,345人へと大幅に増加しています。
さらに、医師事務作業補助者による電子カルテ入力やサマリー修正なども効果的であり、医師の事務負担を大きく軽減します。特に救急や外科領域では、多職種が役割を担うことで迅速かつ安全な診療提供が可能になります。
外部支援も活用し、改革を未来への投資と捉え取り組む
これらの取り組みを病院全体の改革につなげるには、体制整備が不可欠です。経営トップのリーダーシップの下、医師・看護師・事務職などが参加する横断的な「働き方改革推進チーム」を設置し、現場の課題を吸い上げ、具体的な改善策を実行することが求められます。厚生労働省の好事例集にある会議削減、クリニカルパスの活用、定時退勤日の設定などに加え、ICTの活用による効率化も重要です。
加えて、外部支援の活用も改革加速の鍵となります。「働き方改革推進支援助成金」により、生産性向上に資する機器導入の費用が助成されるほか、「医師及びその他の医療従事者の労働時間短縮に資する機器等の特別償却制度」を利用すれば、取得価格の15%を初年度に特別償却でき、税負担軽減とキャッシュフロー改善につながります。ただし大学病院や公的病院は対象外である点に留意が必要です。
医師の働き方改革は、まさに「病院の大手術」です。現状維持では限界が迫る今、経営者はこの改革を未来への投資と捉え、組織全体の総力を挙げて取り組む必要があります。
病院の人事制度・組織開発と言えば、日本経営!
今回の解説
馬渡美智(まわたり みさと)
株式会社日本経営 組織人事コンサルタント
従業員数500名規模の事業所で、総務・人事業務に従事した後、日本経営入社。労務管理体制の調査・整備業務、組織活性化支援、人事制度の導入・運用支援、管理職研修、職員研修等に従事している。自治体の医療人材の流出入に関する調査も実施。社会福祉協議会、各種団体等での講演やセミナーも多数行っている。社内においては、子育てをしながら経営コンサルタントとして働くモデル人材として活躍。社会保険労務士有資格者。
株式会社日本経営
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